OMATSURIKOZO's talk salon


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1997年 8月
連載124回

事務所内LANに挑戦!!
メールシステムがやっと分かった

モービルコンピューティングは
ビルの谷間で夢を見る

 空梅雨だといっていたら、大変な梅雨になってしまいましたね。これで今年の夏には水不足はないでしょうが、土砂崩れ等の被害に遭われた方には大変お気の毒でしたね。このぶんでは冷夏という予報も当てにならず、梅雨が明けたとたん猛暑になっているかもしれません。暑い暑いと騒いでみても1ヶ月から2ヶ月のことです。頑張って乗り切りましょう。
 神戸の小学生殺人事件、驚いてしまいましたね。中学生の心の中にあんな暗闇が作られる社会というのは、個人的な資質の問題以上に心悩まされるところです。のんびりパソコンと戯れていていいのかなどとも思ってしまいました。もう少し人間というものの「闇」を問い直してみようと思っています。

まだまだLANは遠い実状


 さて、今月は久しぶりにネタに困ってしまいました。何から話をしようかと思ったのですが、小規模LANについて書き始めてみましょう。
 最近、私が訪ねていく土木工事事務所内にもたくさんのパソコンが導入され、そうした事務所内に一人か二人程度はかなりパソコンに詳しい人たちがいます。でも、ほとんどアプリケーションユーザーであって、ハードやOSには疎いと言った方がよいでしょう。ある現場事務所では個人購入と事務所購入で一人1台のパソコンを使っているところもあります。ほとんどがノートパソコンで、デスクトップパソコンの数は少ないです。こうした事務所においても、パソコンの利用状況はほとんどスタンドアロンで、LANの概念はまだありません。プリンタの利用にしても、まだプリンタ切り替え期が主流を占めていて、事務所内のパソコンを効率よく繋ぐという意識はありません。私が「WIN95がほとんどのパソコンに導入されているのだから、LANを導入したらどうか」と話しても、その意味を理解できる人は少ないです。やっと、2台のパソコンを繋いで、SCSI機器(MO)の共有が実現できたと喜んでいた人が生まれ、この事務所では少しずつLANが伸び始めるだろうなと思ったところです。

事務所内LANシステムを頼まれる


 こうした土木事務所の現状に拘わらず、ある所長が私に電話をよこし、「今度開設するうちの事務所ではパソコン同士やインターネットなどを繋ごうと思うのだが、教えてくれ」と言うのです。その所長とは昔から懇意にはしていたのですが、そんなにパソコンに詳しいという人ではなく、興味を持っているとは思えなかったので、驚いてしまいました。彼が言うには、「土木工事現場ではパソコンはほとんど単独で使っているが、どこかのところでメールのやりとりをしている事務所があり、自分の事務所でもそうしたシステムを導入したい。ただ、その位なものを業者に頼むのは、金額的にも気分的にも面白くない。そこであんたに相談したのだ」ということなのです。調子のよい私は「とにかくどんなシステムにしたいのか、具体的に話がしたいものだ」と安請負をして相談に乗ることにしました。
 Windows3.1時代からメルコのLANシステムで遊んでいた私にとって、事務所のLAN構築なんて面白いと思ったものの、実際のところファイルとプリンタの共有しか経験していません。メールシステムなんてものはやったことがありません。素人相手にLANのなんたるかを講義し、得々と話したものの、具体的にどのようにシステムを構築するかと言えば、お寒いものがあります。所長は所長で聞きかじりの知識で、事務所内のどのパソコンからでもnifftyやインターネットに接続できるのかとか、場内のメールアドレスとインターネットのメールアドレスを勘違いしていたりで、このシステムを具体的に掌握していたわけではないことが分かりました。そこで、外部とのやりとりを簡単に許してしまえば、専用線を使っているわけではないので、ダイアルアップの時間だけ電話代がかかることを理解させ、インターネットとかパソコン通信とは直接接続させないことにしました。ただ、事務所の外から電話を通じて事務所内のパソコンにメールが出せるようにはできないかというので、それは可能ですが、こちらから先方にダイレクトにメールを出すことはできないと言うことを了解させました。
 そこで、Pentium100Mhz程度のマシンを購入し、これをホストマシンにして、メールサーバー、ファイルサーバー、プリンタサーバーにすることにしました。OSにはWIN95よりもNTが適しているのではと言ったわけですが、NTサーバーではもったいない上、私も使い方が分からない。そこで、NTワークステーションを導入することにしましたが、私はこれも使ったことがないので、慌てて勉強することにしました。問題はメールサーバーをどのように作るのかと言うことになったわけですが、友人達に相談しても、できるだろうと言うだけで具体的なことは何一つ教えてくれません。つまり、彼らも家庭内のLANは構築していても、メールサーバーを立ち上げるなどと言うことまではやっていなかったのです。仕方がありません。自分でお勉強です。しかし、ここ数年、自分だけで新しいことにチャレンジしたことがあったでしょうか。いつもみんな一緒にチャレンジと言うことで、困ったら誰かに聞けるという状況だったので、自分一人でこつこつお勉強というのは久しぶりでした。

メールサーバーを考える


 WIN95のコントロールパネルの中にもある「MS Mail ポストオフィス」というのが、メールサーバーとなりました。これはNTワークステーションにもあります。メールサーバーとなるソフトウェアはたくさんあるそうですが、このポストオフィスは付属ソフトですから、格安です。メールサーバーを考えるとき、「ドメイン」という概念と「ワークグループ」という概念があります。NTサーバーを導入すると、「ドメイン」という概念を持つネットワークが構築できるのですが、これはインターネットと同じ「TCP/IP」というプロトコルを使い、複数のワークグループやインターネットにも直接接続できるネットワークになるそうですが、これは私には手に余ると言うことで、「ワークグループ」のネットワークに限定することにしました。このネットワークではWIN95のネットワークと同じ「NetBEUI」というプロトコルを使い、ホストとなるパソコンにワークグループポストオフィス(ひとつのフォルダです)を作成します。このポストオフィスにグループに参加している人の名簿を作り上げると、完成です。後はそれぞれのパソコンの「受信トレイ」から自分のメールBOXにアクセスできるようになり、メールの送受信ができます。
 まあ、パソコン通信のホストの中のメールBOXを事務所内の1台のパソコン内に持たせると言うことなのです。このメールBOXには管理者が接続するメンバーを登録さえすればいいわけですから、事務所内のケーブルを通じても、電話モデムを通じても同じです。同じ「ワークグループ」に参加さえしておけば可能となります。我が家の家庭内LANにおいて早速実験を試みましたが、試行錯誤の上やっと完成しました。しかし、これを日常的に使おうとすれば、ホストとなるパソコンは24時間稼働と言うことになってしまうため、お蔵入りとなってしまいました。WIN95というのは、凄いシステムなんですね(でも、WIN95をそこまで使っているユーザーというのは何割いるのでしょうかね)。今、これをNTワークステーションの上に再構築しようと試みているところです。完成したら、その事務所に導入することになっています。
 ちょっと「パソコン通」のような顔をしているととんでもない相談に巻き込まれることになりました。自分なりに勉強ができたとはいえ、口は災いのモトと言うことは本当です。みなさんもお気をつけて。

モバイルコンピューティングはブレイク寸前


 最近はモバイルコンピューティングが隠れたブームですが、続々と新製品が登場、本命といわれているWindowsCE日本語版も登場しました。カシオのカシオペアは英語版の当時から人気者でしたが、日本語バージョンでは4MBもありますが8MBバージョンとなって、なかなかの人気だそうです。NECもモバイルギァを一新させてWindowsCEとして登場させました。こちらの製品もなかなかの仕上がりで評判がいいそうです。私もカシオペアを触ってみましたが、まあまあの反応速度で気に入りましたが、Libretto 50を捨ててまで移行しようとは思いません。
 そのLibrettoにも新製品、60が登場しました。内容はクロックスピードが75から100に上がっただけで、大きな変更はありませんでした。バッテリーの持ち時間が大きく向上したと言うことですが、予備の大型バッテリーまで購入した私にはあまり羨ましくありません。バリエーションが増え、仲間が増えるので嬉しく思っています。これだけシリーズが増えてきたので、世の中の認知度は相当進んでいるだろうと思っていたら、案外みんな知らないのですね。女房の兄弟の家族もパソコンを使っているのですが(パソコンマニアではない)、そこに行ったとき私がLibrettoを取り出すと驚いていました。キーボードが小さくて使いにくいという声も聞きますが、値段的にもこなれていてなかなかいい製品だと思っています。
 WindowsCEマシンの登場に対抗して、ザウルスの新製品、パワーザウルスも登場しました。こいつが大きさ、重さをぐーんと見直し、しかもアプリケーションがWIN95対応のワード・エクセルと互換性を持たせるなど、完全にWindowsCEを意識した作りになってきました。カラーザウルスの当時には、あんなに大きくて不格好なのは誰が買うんだと思ったりしたのですが、今回のパワーザウルスはなかなかよくできたPDAです。
 富士通からもinterTOPが発売されました。A5版にまとめられたマシンは、Libretto対抗商品かとも思えますが、こちらはDOS版のマシンで、NECのモバイルギァ対抗と言うことになるのでしょうか。筐体のデザインがなかなかしゃれていて、カラー画面の視認性はなかなかいいです。名前からして、携帯用でありながら「通信」が得意ですよ、インターネットへ簡単に接続できますょと言うことなのでしょう。
 Librettoはちょっと違ったコンセプトですが、こうした新しいPDAは全て携帯通新端末になるということを売りにしています。そこそこに売れていると言うことは、移動中の通信というコンセプトは確かに広がり始めているのでしょうが、見かけたことはありません。友人達も自分たちは使ったことがあるとはいいながら、人が使っているのは見かけたことがないと言います。私も出張の時、時々駅の中のグレー公衆電話からインターネットに接続してE-MAILを確認することがありますが、そのときには奥まったところにある電話を探し、あまり人に見られないようにしていますから、まだまだ屋外通信というやつは人目を忍ぶものかもしれませんね。ノートパソコンがそこそこに普及して、新幹線などでノートパソコンを使って何かしているのを見かけたというのは、かなり時間が経ってからのことだと思い返せば、グレー電話からアクセスするのを日常的に見かけるようになるのは来年あたりかな。

インターネットがもたらしたもの


 インターネットの普及は、今までパソコン通信を体験していた人たちにとっては驚いたものです。あんなもの、ちょっと目新しいパソコン通信であって、今までのパソコン通信の普及率の延長線上にあるものだと多くのパソコン通信経験者は思っていたようですが(私もアメリカでインターネットを体験するまではそうでした)、どうもこれは「違う」ものだったようです。一時的なブームであるとか、内容が空虚であるとか、いろいろな悪口が言われますが、スタンドアロンであったパソコンが「繋がるパソコン」という概念に動き出すひとつの契機となったようです。たしかに「パソコン通信」でも「繋がるパソコン」の概念は形成されていたのですが、それはまだ閉鎖社会であって、普遍性を獲得できていなかったのです。ところがインターネットというもの凄いカオスが生まれ、このカオスの力で「パソコンは繋がってこそパソコン」という概念がパソコンをまだ購入していない人たちにまで暗黙の認知を強いたようです。インターネットという存在は、どうもインターネットという世界でとどまることなく、パソコン世界に大きな革命を与えたようです。
 ネットワーク(LAN)−パソコン通信−パソコン−インターネット−移動通信端末−NC、とどまるところがない広がりの中のキーワードがインターネットのようです。

夏休みの宿題


 先月号でも触れたとおり、第6世代CPU戦争はますます激化しています。8月に発表されるであろうインテルの新価格はどうなるのかは分かりませんが、CPUの値段は毎週毎週下がってきています。AMDとサイリックスの互換チップは大人気です。メモリについても今年の始め少し上がったものの、現在ではかっての最低価格を更新する状況です。どんどん安くなってくるメモリとCPU、ここはひとつこの夏休みには1台マシンを作ってみませんか。新しいマザーボードも続々登場してきています。まだインテルが発表していない440LXという新しいPCIチップを搭載したマザーボードでさえ出てきているという状況ですが、こんな先物買いは薦めません。でも、200Mhzの互換チップが3万円を切る状況、メモリが32MBで1.2万円の時代、ビデオカードにしても1万円も出せば2MBのアクセラレータボードが手に入ります。こりゃ夏休みの宿題としてパソコンマニアに名を連ねたいのなら是非1台制作しなくては。

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